基礎知識

フタル酸PVCテープとTSCA規制の関係

PVCテープは、その優れた特性から、建設、電気、自動車など様々な業界で広く利用されています。しかし、PVCテープの多くには、可塑剤としてフタル酸エステルが添加されている場合があります。フタル酸エステルは、人体や環境への影響が懸念される物質であり、その使用は様々な規制の対象となっています。

特に、米国ではTSCA(Toxic Substances Control Act:有害物質規制法)によって化学物質が厳しく管理されており、フタル酸エステルもその対象となっています。本記事では、フタル酸PVCテープとTSCA規制の関係性について詳しく解説し、設計者やエンジニアが製品選定を行う際に留意すべきポイントをご紹介します。

PVCテープとは

PVCテープとは、ポリ塩化ビニル(PVC)を基材としたテープのことです。PVCは、塩化ビニルモノマーを重合して得られる合成樹脂で、優れた耐久性、耐水性、電気絶縁性、耐薬品性などを持ちます。

PVCテープは、これらの特性を活かして、建設、電気、自動車、包装、医療など、様々な分野で広く利用されています。用途としては、配線やケーブルの絶縁、結束、保護、防水、シーリング、標識、装飾など、多岐にわたります。

>>材質PVC

TSCA規制とは?

TSCAは、1976年に制定された米国の法律で、化学物質の製造、輸入、使用、廃棄などを包括的に規制するものです。TSCAの目的は、人体や環境へのリスクを最小限に抑えながら、化学物質の利用による経済発展を促進することです。

TSCAでは、新規化学物質の事前審査、既存化学物質の評価、有害物質の規制、情報公開などが定められています。化学物質を製造または輸入する企業は、EPA(Environmental Protection Agency:環境保護庁)に情報を提供し、必要な手続きを行う必要があります。

フタル酸エステルとフタル酸テープ規制

フタル酸エステルは、フタル酸とアルコールのエステル結合によって生成される化合物です。可塑剤としてPVCなどのプラスチックに添加され、柔軟性や加工性を向上させる効果があります。

フタル酸エステルは、DEHP、DINP、DIDPなど様々な種類があり、それぞれ特性や用途が異なります。しかし、一部のフタル酸エステルは、内分泌かく乱作用や生殖毒性などが懸念されており、その使用が制限または禁止されている国や地域もあります。

フタル酸エステルを含むPVCテープは、TSCA規制の対象となります。EPAは、フタル酸エステルのリスク評価を行い、一部のフタル酸エステルを規制対象物質に指定しています。

例えば、子供向け製品に含まれるDEHP、DBP、BBPは、濃度制限が設けられています。また、一部のフタル酸エステルは、Significant New Use Rule (SNUR) の対象となっており、新たな用途で使用する場合にはEPAへの事前届出が必要です。

フタル酸PVCテープとTSCA規制の関係性

フタル酸PVCテープを米国で製造、輸入、販売する場合には、TSCA規制を遵守する必要があります。具体的には、以下の点に注意が必要です。

  • フタル酸エステルの種類と含有量: 使用されているフタル酸エステルの種類と含有量を把握し、TSCA規制に適合しているかを確認する必要があります。
  • 製品の用途: 子供向け製品や食品接触用途など、特定の用途に使用する場合には、特別な規制が適用される可能性があります。
  • 情報公開: SDS(安全データシート)などを通じて、製品に含まれるフタル酸エステルに関する情報を適切に開示する必要があります。

フタル酸PVCテープ接着の際に気を付けるべきこと

フタル酸PVCテープを使用する際には、TSCA規制への適合だけでなく、以下の点にも注意が必要です。

  • 作業環境: フタル酸エステルは、吸入や皮膚接触によって人体に取り込まれる可能性があります。作業環境における適切な換気や保護具の着用など、安全対策を講じる必要があります。
  • 廃棄: フタル酸PVCテープを廃棄する際には、関連する法規制に従って適切に処理する必要があります。
  • 代替材料: 環境や人体への影響を考慮し、フタル酸エステルを含まない代替材料の利用を検討することも重要です。

当社でのフタル酸PVCテープから非フタル酸PVCテープへの置換事例

フタル酸のテープの置換PET25μm+ホットメルト35μm

お客様より、現行のフタル酸テープが廃版になるため、代替品を探しているというお問い合わせをいただきました。現状ではフタル酸を含むPVCを使用していますが、環境対策として材料を変更し、フタル酸フリーにしたいというご要望でした。また、従来の塩ビ代替案ではロット数が課題でした。

PVC接着ホットメルトとPET基材を熱ラミネート加工で採用。これにより、顧客は目標コスト達成とロット数抑制に成功しました。ポリイミド等でもフタル酸フリー対応可能で、多くの相談実績があります。

>>本事例の詳細はこちら

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ラミネートフィルム加工を選ぶ際には、製品の用途や必要とされる特性に基づいて判断することが重要です。例えば、迅速な加工や環境に配慮したプロセスを重視する場合には、熱ラミネート加工が適しています。当社ではお客様の仕様に応じて最適な加工方法をご提案いたします。ラミネートフィルム加工に関することでお困り事や質問等ございましたら、「機能性テープ・フィルム加工 課題解決センター」までお問い合わせください。

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