1. PI(ポリイミド)フィルムとは

PI(ポリイミド)フィルムは、ポリイミドと呼ばれる高分子化合物から作られる非常に優れた特性を持つフィルムです。一般的に、イミド結合を多数持つことで、高強度、耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性など、多岐にわたる優れた特性を発揮します。これらの特性から、エレクトロニクス分野をはじめ、航空宇宙、自動車、医療といった幅広い産業で重要な素材として利用されています。特に、その薄さと柔軟性から、従来の材料では実現困難だった革新的な製品開発を可能にしています。

2. PI(ポリイミド)フィルムの種類と特徴

PI(ポリイミド)フィルムの最大の魅力は、その多機能性にあります。

• 高い耐熱性: 数百℃の高温環境下でもその物性を維持できるため、過酷な環境下での使用が可能です。
• 優れた電気絶縁性: 高い絶縁破壊強度を持つため、電気回路や電子部品の絶縁材料として不可欠です。
• 高い機械的強度: 薄膜でありながら非常に高い引張強度や弾性率を誇り、物理的な負荷に耐えられます。
• 耐薬品性: 多くの溶剤や薬品に対して優れた耐性を示すため、様々な製造プロセスや使用環境に対応できます。
• 寸法安定性: 温度変化による伸縮が非常に小さく、精密な部品や回路基板の材料として適しています。
• 耐放射線性: 放射線に対する高い耐性も持ち合わせており、医療機器や宇宙分野での応用も進んでいます。

3. PI(ポリイミド)の耐熱性について

ポリイミド耐熱性は、PI(ポリイミド)フィルムの最も重要な特性の一つです。多くのポリイミドは、その分子構造に起因する高いガラス転移温度（Tg）と分解温度を有しており、200℃を超える連続使用温度に耐えることができます。特に、高温での寸法安定性や電気特性の維持は、半導体製造プロセスにおけるフレキシブル基板や、自動車のエンジンルーム内での配線、航空宇宙分野における耐熱部品など、極めて高い信頼性が要求される用途で不可欠です。このポリイミド耐熱性は、金属やセラミックスでは実現が難しい、軽量かつ柔軟な耐熱材料として、多くの設計者に新たな可能性を提供しています。

4. 透明ポリイミドテープの使われ方

透明ポリイミドテープは、従来の褐色や黄色のポリイミドフィルムとは異なり、高い光透過性を有するPI(ポリイミド)フィルムを基材としたテープです。この透明性により、ディスプレイのフレキシブル基板や、タッチパネル、有機ELデバイスなどの透明電極、さらには光学センサーやLEDパッケージの保護フィルムとして、その応用範囲を広げています。透明ポリイミドテープは、その優れた耐熱性や機械的強度を維持しつつ、光学的透明性を両立させることで、従来の透明材料では実現できなかった高温環境下での光学デバイスの設計を可能にしました。特に、フレキシブルディスプレイの分野では、折り曲げや伸縮に耐える高耐久性と透明性が求められるため、透明ポリイミドテープは不可欠な材料となっています。

5. 熱可塑性ポリイミド フィルム

従来のPI(ポリイミド)フィルムは、一度硬化すると再加工が難しい熱硬化性樹脂が主流でした。しかし、近年では熱可塑性ポリイミド フィルムの開発が進んでいます。熱可塑性ポリイミド フィルムは、加熱することで軟化し、冷却することで再び固化するという特性を持っています。この特性により、溶融成形や熱プレス、溶着といった加工が可能となり、複雑な形状の部品製造や、複数の部品を一体化する際の接合工程が簡素化されます。また、リサイクルも容易になるため、環境負荷の低減にも貢献します。この熱可塑性ポリイミド フィルムは、従来のポリイミドが持つ優れた特性を維持しつつ、より幅広い成形加工に対応できることから、自動車部品や航空機部品、医療機器など、高機能かつ複雑な形状が求められる分野での応用が期待されています。特に、金属代替材料としての軽量化や、部品点数削減によるコストダウンにも寄与するため、設計者にとって非常に魅力的な選択肢となるでしょう。

6. PI(ポリイミド)フィルムを使った当社加工技術

PI(ポリイミド)のフィルムコーティング加工

整列テープ向けにホットメルトを使って加工する際に、①素材や用途に合ったホットメルト材が見つからない、②小ロット生産に対応してくれる業者がない、③接着剤の接着力が弱かったり、被着体への接着が出来ないという問題がよくあります。
当社では、最適なホットメルト材のご提案が可能で、被着体の仕様に合わせてホットメルト材を選定することができます。オレフィン系素材など難仕様の被着体であっても、これまで蓄積した長年のノウハウを元に試作を繰り返して調整していく開発力があります
これにより、お客様は、これまで諦めていたホットメルトを使用した整列テープの製作が可能となり、コスト削減や工程の簡略化を実現できます。

また、当社では、5μや12μのPI(ポリイミド)を3,000mで在庫しているため、小ロットでの対応が可能です。

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フィルム加工において材質選びは非常に重要です。また、材質の選択の仕方によっても実現できる性能が変わります。「機能性テープ・フィルム加工　課題解決センター」を運営する樫の木製作所では、様々な材質と基材での加工実績があります。お悩みの場合等ございましたら是非「機能性テープ・フィルム加工　課題解決センター」までお問い合わせください。

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